大正9年秋(推定)男爵朝倉景清・貴久子夫妻の長女としてフランスで生まれるが、すぐ帰国。血液型O型。
昭和15年20歳の時に、父景清を「母の敵」と狙う天堂一也と運命的な出会いをする。最初は無礼な人と反発する柳子だったが、何回も危ないところを一也に助けられ、暴漢に刺された一也に輸血もする。やがて、野性的な一也に惹かれ愛するようになる。だが、一也は「母の敵」景清の娘の柳子を愛せない。一也が父を敵と言うのなら自分も一也の敵だと言い、一也と訣別する。その後、母方の従兄弟津川圭吾の友人で、新聞記者の伊能鳥彦と婚約する。だが、昭和16年太平洋戦争が始まると鳥彦は従軍記者として戦地に赴き、シンガポールで死亡。
昭和17年父がスパイ容疑で逮捕されると、父を救う為に奔走する。また、一也の母天堂富士乃の35年前の手紙が見つかり、一也の景清への誤解を解く為に力を尽くす。父の死後、一也との仲は母貴久子や従兄弟の圭吾の猛反対にあう。その後は、父の汚名をそそぐ為に海軍で働く。
昭和18年冬23歳の柳子は、出征間際の一也と、二人だけの結婚式を挙げる。「必ず、生きて帰ってきて、あなた」と一也を送り出すが、1ヶ月後一也の戦死公報が届く。驚愕して生きる望みを失い自殺を図る柳子だったが、貴久子やいくらでも柳子を待つという圭吾にほだされ、また景清の言葉も思い出し、新たに生きていく決心をする。
昭和20年奇跡的に麻布の朝倉家の屋敷は空襲の戦禍を免れたが、初冬終戦を迎えた後朝倉家も食糧難に悩ませられる。華族制度が廃止されると言う噂が広まり、心無い人々に「華族の誇り」を傷つけられる柳子達。華族達から二束三文で買い集めた古美術品をGHQに売りつける圭吾を、最初は軽蔑する柳子だったが、華族制度廃止を知って自殺未遂を図った貴久子を助け、「なんとしてでも、この家を再興しあの誇り高い日々を取り戻して見せます」と誓う柳子だった。そうして、昭和20年12月、柳子は景清の死後男爵を継いでいた圭吾と結婚する。
昭和23年12月、柳子は圭吾と共に事業家となり「朝倉産業」の経営に当たっていたが、世間では「夜叉夫人」と呼ばれる非情の女になっていた。そんな時、死んだと思っていた一也が復員して朝倉家に訪ねて来る。驚愕する柳子達。自分を裏切って圭吾と結婚した柳子を、一也はなじる。「遅過ぎたんです、貴方は遅過ぎたんです」と柳子は一也に訴える。街に飛び出し荒れ狂った時知り合った建築業者「飛田組」の飛田雄介の所に落ち着いた一也と、柳子達は工事の入札を争う。進駐軍のコネやかつての柳子の求婚者片岡元などに、お金をばらまく柳子と圭吾。柳子と一也は完全に対立することになった。
また、柳子は妹朝倉琴子との仲もギクシャクし始める。明けて昭和24年、柳子が自分の代りに琴子を片岡の使いに出し、琴子は片岡に危うくレイプされそうになったことから二人は訣別、琴子は家を出て大森タカの店「なすび」に身を寄せる。そんな姉妹の不仲を悲しみ、柳子が世間では「夜叉夫人」と呼ばれていることに、貴久子はようやく気がつき柳子を諭すが、柳子にはもはや母の言葉は理解出来なかった。一方、タカと結婚し気持ちも新たにやっていこうとする一也と、柳子は新橋の「なすび」周辺の土地を巡って激しく戦う。遂に自殺者まで出して、あまりにもひどいやり方に一也は憤り、「朝倉産業」の贈収賄の証拠を盗む。そのせいで圭吾は逮捕される。妊娠していた柳子は圭吾の保釈金集めに奔走するが、誰も貸してくれない。圭吾の逮捕後、借金だらけの「朝倉産業」に代って片岡が、「なすび」周辺の土地買占めに乗り出して来た。嫌がらせをする片岡の手下達。
そんな時、タカが柳子をかばおうとして、片岡の手下に刺されてしまう。瀕死のタカは一也の今後を柳子に託して、息を引取る。タカの死で、ようやく目が覚めた柳子は、今までの行ないを悔い罪の重さに気がつく。釈放された圭吾にも、悔い改めるように説得する柳子だったが、圭吾は頑として聞き入れない。柳子は離婚を決意し、一也にタカのおかげで人間らしい心を取り戻すことが出来たとお礼を言う。その後、片岡は雄介に撃ち殺され、一也の仲立ちで琴子とも和解する。しかし、逆上した圭吾に突き飛され柳子は流産し、二度と子供が産めない体になってしまう。その衝撃の事実は貴久子によって柳子には秘密にされたが、離婚を申し出られた圭吾が柳子に告げてしまう。
昭和24年早春借金でにっちもさっちもいかなくなり、訴えられそうになった圭吾は一人家を出て、樹海で自殺する。圭吾の死後、届いた遺書とも言える手紙には圭吾の思いの丈がつづってあり、サインした離婚届と結婚指輪が引き出しに入っていた。圭吾が騙した被害者の為、柳子は家屋敷を手放す決心をする。タカの死後、戦災孤児達の孤児院を田舎に作る為、東京を離れようとする一也は柳子を誘うが、柳子は罪深い自分にはそんな資格がないと断る。しかし、最後の最後で一也や子供達について行く決心をする。そうして、一也や子供達と一緒に「鐘の鳴る丘」作りに、柳子は励むこととなる。