明治43年(推定)、飲む打つ買うの三拍子揃った父と母天堂富士乃の間に生まれる。血液型O型。
大正9年10月、10歳の時母が亡くなる。その際、母は朝倉景清に弄ばれ不幸になったと信じ、景清に復讐を誓う。その後、大陸に渡り苦労してお金を貯める。昭和7年満州で川島芳子の安国軍に身を投じた。
昭和15年秋帰国。「天堂物産」の経営者になった一也は、友人の山下順造を使い景清の会社を次々と乗っ取るがそれだけではあき足らず、景清の娘朝倉柳子にも近づく。偶然暴漢に襲われた景清を助け、景清のワイン作りの事業に参加するが、景清に損害を与えようといろいろ画策する。影清の妻、朝倉貴久子の誕生日に、暴漢に襲われ命が危なくなるが、柳子が輸血して一命を取り止める。本気で柳子を愛するようになった一也は素直にお礼を言うが、母の仇の娘は愛せないと柳子をつっぱねる。遂に、景清に正体がばれた一也は、景清が何を言っても信じない。柳子が伊能鳥彦と婚約すると激しく荒れ狂う。
昭和16年戦争が始まり、景清の葡萄園が軍に接収され、景清がスパイ容疑で逮捕されるが、少しも嬉しくない一也。朝倉家の使用人平沼が景清の為を思って、隠していた富士乃から景清に当てた35年前の手紙を、柳子から見せられた一也は今まで自分が勘違いしていたこと、取り返しのつかないことを景清にしてしまったことを、深く悔やむ。昭和17年2月瀕死の景清に謝罪をし、二人は和解する。自分のして来たことを深く後悔する一也は、母の元に「俺は俺の残された一生を、その償いの為に捧げる」と誓う。これまでの償いにと、一也が柳子に渡した10万円の香典は、破産しかけていた朝倉家を救う。やがて、一也は軍隊に召集されるが、今まで何くれと面倒を見てくれた下宿先の大家で、居酒屋「なすび」の女将大森タカにもお金を残していく。
昭和18年冬陸軍情報部特殊部隊軍曹となって行方がわからなかった一也は、柳子にスパイ活動をさせろという命令を断り、満州に行くことになった。教会で柳子と二人だけの結婚式を挙げ、「殺されても死なぬ。そして、きっとお前を迎えに来る」と旅立って行く。しかし、1ヶ月後一也の戦死公報がタカの元に届く。
死んだと思われていた一也だが、実は捕虜としてシベリアの強制収容所に囚われていた。収容所を脱走し、昭和23年12月帰国するが、柳子は既に従兄弟の朝倉圭吾と結婚していた。柳子の裏切りを知って、取り乱し荒れ狂う一也だったが、建設業者「飛田組」の経営者飛田雄介と知り合い、もう一度夢を信じて出直そうと決心し、彼の所に身を寄せる。また、雄介に連れられて行った新橋の店はタカの経営する店で、二人は偶然再会する。「夜叉夫人」と呼ばれ、すっかり変わり果てた柳子の目を覚まそうと、一也は「朝倉産業」と争う。
明けて昭和24年、しかし、一向に目を覚まさない柳子に虚しさを感じ、このままでは柳子を憎んでしまう、そんなことはしたくないと、一也は変らず優しくしてくれるタカと結婚する。タカとの結婚を祝福する柳子だったが、「朝倉産業」のビル建設を巡って「なすび」周辺の土地買収に、圭吾と共に乗り出して来る。自殺者まで出して堪忍袋の緒が切れた一也は、圭吾の贈収賄の証拠をつかむ為、朝倉家に忍び込む。そうして、圭吾が逮捕された。圭吾の逮捕と母貴久子の言葉でようやく柳子は、後悔し始めた。圭吾の保釈金集めに奔走する柳子に、一也は「これが俺が望んでいたことなのか。これが大恩ある男爵への償いと言えるのだろうか」と思い、雄介にお金を借り貴久子に渡す。貴久子に自分の素直な気持ちと亡き景清に負い目があることを話す一也は、ようやく貴久子との長い確執から解き放たれた。
成すべきことは終わったと、タカと二人戦災孤児の為の孤児院を作ろうと、タカの故郷に旅立とうとしていた矢先、圭吾の後を追って土地買収に乗り出して来た片岡元の手下に、柳子をかばってタカは刺されてしまう。タカは柳子に一也のことを託して、息を引き取る。悲しみにくれる一也は、タカとの約束通り暴力を嫌い、片岡の手下達にも無抵抗で重傷を負わされる。このままでは一也が殺されてしまうと心配した雄介は、片岡の所に乗り込み、格闘の末片岡を射殺。
そんなおり、タカの死ですっかり悔い改めた柳子は、圭吾のせいで流産してしまう。病院に運ばれた柳子は手術することになったが、輸血用のO型の血が足りない。このままでは柳子の命が危ない、一也は輸血を申し出る。8年前、柳子が自分の為に輸血してくれたように。一命を取りとめる柳子。離婚届を残して圭吾は自殺し、柳子は家屋敷を処分して被害者に返済することになった。雄介も柳子が紹介してくれた弁護士のおかげで、正当防衛が認められ、全てが上手く行き始めた。一也はタカとの約束通り孤児院を作る為に、孤児達を連れて田舎に引っ込むことになった。タカの墓の前で、柳子にも一緒に行かないかと誘うが、自分にはその資格はないと柳子は固辞する。しかし、旅立ちのその日柳子は来た。大喜びの子供達。こうして、「生まれ変わった朝倉柳子と天堂一也の新しい人生の旅立ち」が始まった。