注) この色の文字は登場人物のセリフとナレーション、この色の文字はオパールの勝手な感想です

 第31話

昭和17年、天堂一也は特殊工作員すなわちスパイとして、闇の世界を生きていた。そのため、その後の消息は誰も知ることは出来なかった。

昭和18年2月、圭吾が爵位を継ぐことが出来て、朝倉家の破局は免れていた。圭吾の男爵就任を喜ぶ、朝倉家の人々。貴久子は圭吾を当主として扱うことを、柳子と琴子に言い聞かせる。

一也がいない間、柳子はタカを訪ね、一也の部屋に花を飾ることをかかさなかった。「なすび」も食料不足のため、閉店する日が多かった。反戦思想のため、警察に捕まっていたタカの夫が死亡したと、タカは柳子に言う。縁はとっくに切れていたのに、急に力が抜けたとタカ。柳子にもタカにも、一也から何の連絡がないと、タカは愚痴る。
すっかり柳子とタカは仲良くなってしまったようです(^O^)。タカの息子正一も柳子になついてますね。

柳子が帰った後、一也がいきなりこっそりと戻ってくる。びっくりするタカ。柳子を呼んで来るというタカだったが、断る一也。
「俺は今、軍で秘密の仕事をしている。個人的な行動は一切禁止されてるんだ。見つかるとまずい」
近くまで来て、急にタカに会いたくなって来たと言う。柳子が来るのかとタカに聞いて、よく来ると応えるタカ。なんとか柳子に手紙でも書けないのかと聞くタカ。重要な任務についている自分は、個人的な手紙は書けない、今タカに会ってるのだって許されないことだと一也は言う。
「でも、悔しいね。私に会えて、お嬢さんには会えないなんて。あと1分早かったら、間に合ったのに」
とタカ。柳子が飾った花を取って、
「花をありがとう、そう伝えといてくれ」
と言い残して、去っていく一也。

うーん、本当にスパイになってしまったようですね、一也君。ちょっと意外だったのですが。でも、せつないですね、運命のすれ違いというか柳子と会えないなんて。タカの夫も戦争に反対していたので、警察に捕まったんですね。なんとなくそんな感じがしてたけど。今から考えると大変な時代だと、しみじみ思いました。

圭吾の部屋を訪ね、貴久子は柳子との結婚を考えてくれと言う。柳子のことは、
「守ってあげたい、いつも見守っていてあげたい」
と思っていると圭吾。喜ぶ貴久子。戦争が終わるまで結婚しないと言う柳子に、貴久子は圭吾と結婚して欲しいと言う。ちょっと怒って出ていく柳子。

「天堂様、一体どこへ行ってしまったの。もう1年にもなるのに、なぜ?早く、早く、一目でも会いたい」
と1人思う柳子。タカが一也が戻ってきたと柳子に電話してきた。大喜びの柳子。
あの人は生きていた。たった一本の電話が柳子をたまらなく幸せにするのだ。
けなげだなあ、柳子さん。くどいようですが、本当このまま一也と結ばれて欲しいんだけど。

 第32話

タカから、一也の様子を聞いて喜ぶ柳子。そんな柳子に、タカは疎開すると言う。寂しがる柳子に、戦争が終わればまた会えるとタカ。
「早く終わればいいのに。戦争なんて大嫌い。人を離れ離れにしてしまうんですものね」
と柳子。自分達が留守にする間、一也の部屋に来て世話をして欲しいと柳子。タカと一也の家は守ると柳子。二人は別れを惜しむ。

圭吾から23歳の誕生日プレゼントに、カトレアを貰う柳子。圭吾は柳子にプロポーズしていると琴子。その気がない柳子は、花を返すと言うが、琴子は断るにしてももっと優しくしてくれと言う。
もしかして、琴子さんは圭吾さんが好き?(^_^;)

花のお礼を圭吾に言う柳子。圭吾は少し酔っていて、最近おかしい何かあったのかと柳子に聞く。何もないと柳子。圭吾は、朝倉家を継いだからには、景清が築き上げた富と名誉を回復する義務があると言う。
「そのためには柳ちゃん、君の協力がどーしても必要なんだ」
「私との結婚の話ですね。そのことを考えると、お兄様が違う人になられてしまったみたいで、なんだか悲しい」
そうですね、圭吾さん、酔っているせいかなんか目がギラギラしてます(^_^;)。
圭吾にとって、柳子は前は可愛い妹だったが、昔から柳子が好きだった。
「君は僕の偶像だった、だから僕は君を鳥彦君に託して、しかし僕は君をあの鳥彦に、一緒に踊っている君達二人を見てて、私は、一体何をしているんだ、津川圭吾」
とテーブルを叩き、
「僕は君のことが好きだった、昔からずうっと」
と柳子につかみかからんばかりの圭吾。
「お兄様、もうそれ以上おっしゃらないで下さい、そんなことおっしゃられたら、私、私また悲しくなってしまいます」
と出ていく柳子。1人嗚咽する圭吾。
あーあー、告白してしまった、圭吾さん。ちょっと興奮しすぎ?しかし、今まで兄同然に思ってた人に「好きだ」って言われても、困惑しますよね。まして、同じ家に住んでいるのだし…。

圭吾の思いが深ければ深いほど苦しむ柳子。そんな自分を華族の誇りにかけて、朝倉家と一也のために必死に自分自身を支えていた。

一也の部屋を訪ねる柳子をつけて来た琴子。一也の部屋に来ると幸せになれると柳子。圭吾のことがあるから、家にいたくない柳子。琴子は圭吾は照れ屋だから今までずっと柳子への気持ちを黙っていたと言う。

なかなか帰宅しない柳子を心配する朝倉家の人々。柳子は一也の部屋でうたた寝し、一也と踊る夢を見ていた。いきなり物音で目を覚ます柳子。そこには一也の姿が。憲兵隊に追われていると言う一也。
「お会いしたかった…」
と一也に抱きつく柳子。抱き合い束の間の逢瀬を惜しむ二人。
「なぜ、なぜ男の方は自分一人で苦しみを背負うとなさるの?なぜ女には分けてくださらないの?」
「男はみんな女を守るために戦っている。俺はお前を守るために…」
一人にしないで、一也の苦しみを分けて欲しいと柳子。
「私、貴方と全てを分かち合いたいんです」
「お前は可愛い」
「夢ならこのまま覚めないで欲しい。永遠に続いて欲しい」
「耐えるんだ、お互いに。今は男と女が愛を語り合える時代じゃないんだ」
「戦争だから?」
「その通りだ」
と言って、いきなり圭吾が入って来た。柳子に帰ろうと言う圭吾。嫌がる柳子、止める一也。
「そういうことだったのか。恥を知れ、恥を。華族の娘か、それでも。この男は君の父親を散々苦しめた挙句、死に追いやった張本人だぞ」
「愛してるんです」
「もう言うな」
と柳子を突き飛ばす圭吾。
「女に手を挙げるのか?」
柳子を抱きとめ、一也は言う。
「黙れ、犬め」
と一也を殴る圭吾。柳子に手を出すことが一也の償いか?と怒りの頂点に達する圭吾。
「貴様、そうやって私の大事なものを私から奪っていくのか?」
と殴りつづける圭吾。止める柳子。
「きっと後悔するぞ柳子。この男が君を幸せに出来るはずがない」
と捨てセリフを残し去っていく圭吾。

うーん、圭吾さんはフェミニストだと思っていたのに、気持ちはわかるけど暴力を振るうなんて…それだけ、柳子が好きで興奮してるから?しかし、居候から男爵様になって偉くなったのか、いつのまにか「柳子」って呼び捨てにしてますね(^_^;)。

 第33話
家を出ると言う柳子を止める一也。針のむしろとわかってあえて家に帰るように言う一也。柳子は一也に一緒に逃げてほしいと言うが、一也は
「それは出来ん、今の俺は軍人だ。国を捨てることは出来んのだ。それは俺の誇りが許さん」
と言う。
ありゃ、いつのまにか帝国軍人になってしまった一也(^_^;)。柳子に華族の誇りがあれば、一也には軍人の誇りがあるのでしょうか?なかなか上手く行かないものですね。

圭吾は柳子と一也の一件を、早速貴久子に話す。圭吾は、柳子は二度と家に戻らないと言う。しかし、柳子は一也と一緒に戻って来た。一也は、貴久子に柳子を許して欲しいと言う。
「私は柳子さんを愛しています、心から、命を懸けて」
と一也。貴久子は、一也に柳子を幸せに出来るかと聞く。一也は戦争に生き残ることが出来たら、幸せに出来ると言う。そんな一也に、貴久子は本当に柳子を愛していたら、富士乃のしたように身を引けと言う。
「貴方はおわかりですね?富士乃の息子ならおわかりですね?もしそれがわからないなら、貴方は母親以下、人間として下の下です」
と言った後、いきなり発作を起こす貴久子。圭吾に帰れと言われて去ろうとする一也、一也を追おうとする柳子だが、
「柳子、君はお母様よりあの男の方が大事なのか?」
と圭吾に言われて、貴久子の側を離れられない。
「そうそれでいい。それでこそ柳子だ」
と圭吾。
なんか、圭吾さん、柳子のことを呼び捨てにしてるし、前と全然態度が違って、偉そうなんですが・・・(^_^;)声の調子も前と違いますよね。

「なすび」に戻った一也は、そこに正一のお骨を抱いたタカを見つける。正一は川に落ちて亡くなった。泣きじゃくるタカ。一也も涙ぐむ。
「いつかきっと二人だけで、正坊のお通夜をやってやろう」
と一也。憲兵隊が一也を迎えに来て、一也は去って行く。

一也の行動は敵前逃亡に等しいと、小野田と桜井に責められる。小野田は柳子を使って、スパイ活動をさせろと言う。断る一也。もし、承知しなければソ連との国境へ行かせると脅す小野田達。


貴久子は柳子を一歩も屋敷から出さないように、きぬに命令する。琴子は柳子に、貴久子は柳子を引き止める為に仮病を使ったかもしれないと言う。
そうかも知れないですね。貴久子さんのあのタイミングのいい突然の苦しみはわざとらしいというか仮病臭いかも(^_^;)
「ねえ、琴子さん。華族ってやあねえ。最近つくづくそう思うの。特権意識の上にあぐらをかいて、華族以外の人間は決して人間扱いしない。そういう階級に生まれた自分も、つくづく嫌だなあなんて思ったりするわ」
「恋って恐ろしいのね。恋は女を変えてしまう」
と琴子。人を好きになるのは、つらくて悲しいことばかりだと柳子。
華族を誇りに思って生きてきた柳子なのに、琴子の言う通り恋をして、華族の身分がうっとおしく?なり始めたようですね。本当、恋は柳子を変えてしまう魔術のようなものですね。

一也は満州に行くとタカに、別れを言いに来た。正一のお通夜もしようと一也。二人で正一を偲ぶ。タカは、柳子に知らせたのかと聞くが、一也は会いたいが柳子は家を出られないと言う。柳子は自分がどこにいても、自分を待っていてくれる、それを信じてると一也は言う。タカは、正一の供養ために一也の前で、舞を舞う。別れの舞を万感の思いで見る一也。

「天堂一也、早く私を奪いに来て」
柳子は何も知らずに待っていた明日、最愛の人天堂一也が戦地に行ってしまうとも知らずに。
 第34話

タカが一也が満州に明日の朝早く発つと、柳子に電話して来た。柳子は琴子に協力してもらって、一也に会いに来た。抱き合う二人。戦争が終わるまで、必ず待つと柳子。
「お願い、二人だけで、私達二人だけで式を挙げて」
と頼む柳子。柳子は、友人の花土枝と一也が見逃したローレンス神父に、立会い人を頼んでいた。一也は、タカに別れを告げる。「なすび」にも憲兵が押しかけて来た。

閉鎖された教会に入る柳子と一也。
ん?教会で式ということは、柳子も一也もクリスチャン?
教会にあるマリア像を見て、輸血してくれた時の柳子はマリア様のようだったと言う一也。
「お前の高貴な血が復讐に燃え盛る俺の心を和らげてくれた。お前に出会っていなければ、男爵の娘がお前でなければ、俺はもっとひどく罪深いことをしていたに違いない」
と一也。ローレンス神父と花土枝を待つ二人だが、なかなか来ない。憲兵が見回っていた。
「血の絆を結ぶ、俺とお前の血の絆を、今宵は結ぶ」
と一也。その頃、花土枝とローレンスは憲兵に見つかってしまった。二人を探しに行こうとする一也。
「行かないで、お願いもう一人ぼっちにしないで。残された時間を失いたくないの」
と柳子。二人とも神への祈りの言葉を知らないが、一也は天堂流でいこうと言う。柳子は一也が毒薬を持っているのを見つける。敵に見つかった時、自白する前に死ぬためのものだった。柳子は、生きて帰って欲しいから、それを自分に渡してくれと言う。
「殺されても死なぬ。そして、きっとお前を迎えに来る」
と毒薬を渡す一也。そこへローレンスが来た。そして式を挙げる柳子と一也。誓いの言葉を言う柳子と一也。そして、契りを結ぶ二人。
二人の衣裳が…想像なのでしょうか?柳子がウェディングドレスで、一也がオープニング?の服になってました。想像なのか実際のことなのか、いまいちよくわかりません(^_^;)。皆様どう思います?

「光の訪れぬ闇はなく」
「春の来ぬ冬はない」
「一也さん、本当に言ってしまうの?」
「陸軍諜報部特殊部隊軍曹、天堂一也、只今より出発します」
一也は去っていく。
「必ず、生きて帰ってきて、あなた」
頷く一也。
「あなた、あなた」
と柳子。一也はソ連国境に旅発った。
昭和18年冬のことだった。

柳子が一也のことを「一也さん」と呼んだのは、私の記憶に間違えなければ初めてだと思うのですが。今までは「天堂様」って呼んでましたよね?そしたら、いきなり「あなた」って呼んじゃって。(^_^;)もう、しっかり「奥さん」してます、柳子さん。心はすっかり結ばれて、もう夫婦なのに、別れ別れになってしまうんですね(T_T)。しかし、この後の貴久子さんと圭吾さんの怒りが怖いと心配なオパールです。

 第35話

一也が満州に旅発ってから、1ヶ月が経った。朝倉家では、柳子を挟んでぎくしゃくしていた。琴子は、柳子に形だけでもいいので貴久子に謝って欲しいと言う。柳子は正直過ぎる、謝る振りだけでいいと言う。朝倉家でも、食料が少なくなり、貴久子は柳子と琴子が可哀想だと言う。そんな貴久子に、柳子は遠回しに自分を責めていると言い、言い争いになる。
「いいえ、私は自分のしたことを少しも恥じておりません」
と貴久子に宣言する柳子。貴久子と柳子の関係を、圭吾はお互いに許し合おうとしないと困ると言う。
「これが華族の血というものです。華族は自分を恥じては生きてゆけないのです」
と貴久子は言う。柳子はかたくな心を持て余していた。一也を思う限り、貴久子とのいさかいは永遠に続くだろう。
うーん、貴久子さんも怖いけど、柳子も一途というか頑固かも(^_^;)。琴子さんの言う通り、表面だけでも謝るのは誇りが許さないのでしょうか?

そんな時、一也の戦死の知らせがタカに届いた。驚愕するタカ。何も知らず「なすび」に来た柳子に、タカは一也の戦死を知らせる。一也は柳子の為に死ぬ覚悟で戦地に行ったと、タカは言う。呆然とする柳子。柳子は教会に来ていた。
「神様、私は貴方の前で誓いました、愛と誠を尽くすと。でも貴方は奪われました、あの人を、最愛の人、天堂一也を奪われました。返して、あの人を返して」
泣きじゃくり叫ぶ柳子。祭壇の側に、一也の毒を入れた弾丸をペンダントにしたものが、落ちていた。それを飲む柳子。倒れる柳子。

柳子は助かった。心配する朝倉家の人々。
「どうして、どうして死なせてくれなかったの。どうして。」
泣きじゃくる柳子。柳子が助かって、柳子が朝倉家に戻ってきてくれたと景清に語りかける貴久子。圭吾は、一也のことで柳子を苦しめた、許してくれと柳子に言う。
「君の心があの男に奪われてくのを見るのが、僕にはつらかった。それが悲しかった。いや、そんなものはただの醜い嫉妬心だってことは、重々わかってたんだが。自分ではどうも出来なかったんだ」
と圭吾。一也に負けた、初めから勝負の相手にならなかったのかもしれないと言う圭吾だが、
「しかし柳ちゃん、君を愛する気持ちでは僕はあの男には負けないつもりだ。誰にも負けないつもりだ」
といくらでも柳子を待つと言う。
あれ?圭吾さん、いつのまにか「柳ちゃん」って呼び方に戻ってる(^_^;)。呼び捨てにしたのは嫉妬してたから?「君を待っている」なんて殺し文句ですね。こういうこと言われると、女性はグラっときてしまうんでは?(^_^;)

お礼を言う柳子は、もう大丈夫、死ぬことは考えないと言う。景清の「誇りを持って生きよ。」という言葉がわかったと柳子。死のうなんて、卑怯だと。
「ありがとう、お兄様、もう1人で歩けるわ」
と柳子は、笑顔で軽く圭吾の手を触って言った。そして、初めて一也と出会った場所へ馬で行く柳子。

昭和18年早春、やがて訪れる日本の崩壊も知らずに柳子は新たな決意で立ちあがった。
「いかなる苦難にも負けず、朝倉の娘として誇りを持って生きぬかねば」
その時、更に過酷な運命が待ち受けていることを、柳子は知るよしもなかった。


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