第36話
昭和20年、戦争は終わった。麻布の朝倉家は戦禍を免れ、柳子、貴久子、琴子、圭吾も生き長らえることが出来た。
しかし、圭吾は若いのに出征しなかったのだろうか?と突っ込むオパール。(^_^;)
昭和20年初冬、柳子と圭吾は食料の買出しに農家を回っていた。自分の誕生日にもろくな食料がなくて、使用人もきぬ以外はいなくなってしまって、貴久子は惨めな気持ちだった。そんな貴久子を励ますきぬ。貴久子はどうやって生きていったらいいのか、わからなくなっていた。
貴久子の為に衣服と交換に米を分けてもらいに、農家を訪ねていった柳子と圭吾だが、足元を見られて馬鹿にされる。柳子達が、華族だと知ってさらに馬鹿にする農家の夫婦。怒る圭吾。農夫は柳子に肩をもませる。
「いい世の中になったもんだ。なあ、わずかな米で、華族様のお姫様に肩もんでもらえるんだもんな」
さらに、セクハラまがいのことまで言い出す始末。柳子は必死に耐えた。だが、悔し涙が止まらなかった。
「ごめんね、柳ちゃん、僕が不甲斐ないばっかりに。柳ちゃんあんな目に遭わせて、ごめん。今に見ていろよ。あいつらに身分の差ってものを思い知らせてやるから…」
と圭吾。そのことは忘れたいと柳子。
「二度と思い出すことはありません。なければ、私が私でなくなってしまいます」
そんな時、圭吾は柳子に華族制度が廃止されると言う噂があると言う。
「新憲法の元では華族制度は無くなり、我々は只の平民ということになるらしい」
愕然とする柳子。怒る圭吾。華族がなくなるなんて、信じられないと柳子。
「私達が何をしたっていうんです。戦争したのは軍部ではありませんか。それどころか、お父様は軍部に反対して死んだんですよ。それなのに、なぜ私達華族が…」
圭吾は、マッカーサーのせいだと言う。
「私達は華族として生を受け、華族として今まで生きて来ました。それを今更、これからどうやって生きて行けっていうんです」
と柳子は、嘆き悲しむ。柳子は町に飛び出し、雨の冷たさに震えながら華族制度が廃止されることを現実のことと受け止めた。傘をさしかける圭吾は貴久子の誕生パーティは中止しようと言うが、柳子は
「いいえ、パーティは出来るだけ盛大にやりましょう。華族制度が廃止になるということは、私達に死ねと言われたも同然のこと」
と言い、家に残っている物を売り払っても、華族の誇りだけで生きて来た貴久子のために朝倉男爵家の最後のパーティを盛大にやろうと言う。
盛大なパーティを開いてもらって、貴久子は喜ぶ。ワルツを踊る柳子と圭吾。
貴久子の誕生日を祝福するワルツであるはずなのに、今の柳子にとっては誇り高き男爵朝倉家の葬送のワルツにしか聞こえなかった。
圭吾は、柳子を守り幸せにする為にどんなことでもすると言う。
「僕はこの体を張って、柳ちゃん、柳ちゃん、君の誇りを守り幸せにしてみせる」
「ありがとう、お兄様」
「ごきげんよう」
柳子の心はまだ大きく揺れ動いていた。昨日まで自分を支えていた全てが、蜃気楼のように消えてしまったのだ。明日からは何の為に生きて行くのか、せめて天堂一也が生きていてくれれば。
しかし、東京に大空襲があったにもかかわらず、うまい具合に朝倉家の屋敷は焼け残りましたねと、またまた突っ込むオパール(^_^;)。華族制度が廃止されることになって、誇りだけで生きて来た柳子たちはどうなるのでしょう。しかし、お米を手に入れるのにあれだけ苦労したのに、貴久子の誕生パーティではチキンの丸焼きとかシャンパンまでありましたね。あれだけ手に入れるには、相当な物?を手放したのでは?というか、ヤミ物資を手に入れたのでしょうか?としつこく突っ込むオパール(^_^;)。
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第37話
圭吾は、華族の持っている古美術品をアメリカ軍に売りつける事業をするつもりだと言う。柳子にも一緒にやろうと言うが、柳子は嫌がる。そんな柳子に圭吾は、柳子に肩を揉ませた農家の夫婦の笑い声を忘れるなと言う。華族制度がなくなって、これからの日本はお金を持っている人の天下になるとも言う。華族制度がなくなることを貴久子には、内緒にする柳子達。そんな柳子の様子を見て、何かつらいことがあったら打ち明けて欲しいと言う貴久子だった。
日比谷倶楽部で、圭吾はアメリカ軍の日系2世のハロルドの仲介で、ケンプトン中佐に古美術品を売りつけようとするが、花瓶を倒して水をかけてしまう。怒って
「目の前からさっさと消えろ」
とケンプトンに言われた圭吾は土下座して謝る。それをおもしろそうに、アメリカ軍相手に大儲けをしているゴミ業者の佐野が見ていた。
あのー、圭吾さん、肝心な時に花瓶なんか倒しちゃって、うっかり屋さん?(;^_^A
ケンプトン中佐も、あれくらいのことでそんなに怒るなよ、大人気無い( ̄0 ̄;と突っ込むオパール。
琴子は、働きに出たいと言うが柳子は反対する。圭吾が食料品をたくさんとお金を持って帰宅した。何でも好きな物を買ってやると言う圭吾に、柳子は
「そういうお兄様は、私嫌いです」
と怒って出て行く。一也のことを思い出して、ピアノを弾く柳子。結局、琴子は進駐軍の通訳として働き始めた。柳子は改めて孤独を感じた。
そんな中、柳子は街中で一也と他の人を見間違えて、佐野の車の前に飛び出し怪我をする。佐野は、柳子がわざと車の目の前に飛び出してお金をせびる「当たり屋」だと侮辱する。どうして車の前に飛び出したのかと理由を聞く貴久子だが、言えない柳子。そこへ圭吾が帰って来た、さらに侮辱する佐野と子分。
「華族、華族ってでかい顔をするんじゃない。もうそんな制度は無くなるんだよ」
と佐野がばらしてしまう。貴久子は衝撃を受け倒れる。そんな貴久子達に佐野は見舞金と称してお金を置いていく。憤然とする圭吾。
「もう二度と昔に帰る事はないのです。屈辱に耐えなければならない日々が続く…」
貴久子は相当参っていた。そんな貴久子に二度とあんな目に遭わせないと言う柳子。柳子は何かを決心したようだった。
次から次へとあれこれ起こる朝倉家。戦後になったら、いきなり佐野のような人物が出てきて、主人公が「お金が一番」って道に走るのもおなじみのパターン?(^_^;)
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第38話
「殿様、もうお側に行ってもよろしゅうございますね」
貴久子は景清の仏壇の前で、刀で自害しようとしたが、柳子が間一髪の所で止めた。興奮する貴久子を柳子は歌を歌って落ち着かせる。なんの為に、今までみんなで力を合わせて生きて来たのかと言う柳子。
「そして何よりあの時死のうとした私に生き続けよとそうおっしゃって励ましてくれたのは、お母様ではありませんか」
二度と死のうとしないでと、柳子は言う。
「私達が滅びる時が来たら、その時は真っ先に私が刃を取ります。そして一緒に死にます」
と柳子。柳子が死ぬなんていけないと言う貴久子。では生きていてくれますねと柳子。
「なんとしてでも、この家を再興しあの誇り高い日々を取り戻して見せます」
と柳子。今も景清の
「いかなる時も誇りを持って胸を張って生き続けろ」
と言う言葉が聞こえると言う。
「私はどんなことをしても、私達華族の誇りを守ってみせます」
「ありがとう、これからは貴方に手を引かれて生きていきます」
と貴久子。
華族制度廃止でショックだったのか、自殺を計るなんて貴久子さん。佐野みたいなのに侮辱されて、誇りが許せなかったんですね。戦後は華族にとっては生き難い世の中になってしまったんですね。
柳子は、圭吾に仕事を手伝わせてくれと言う。
「お兄様、この朝倉男爵家の誇り高き栄光あるあの日々を、買い戻して下さい」
華族の心は日本人の心、誇りを取り戻すには、お金が全ての力だと言う圭吾。柳子の為だったら何でもすると言う圭吾。
うーん、しかし華族の誇りを取り戻すのに、お金が欲しい?ちょっと違う気もしますが…。(;^_^A
「華族」と違う別のステイタスが欲しいってことでしょうか?
結婚しようと言う圭吾。貴久子もそれを望んでいた、二人で力を合わせて朝倉家を復興させるにはそれが一番だと。でも、そこまで考えがまわらないと柳子は言う。
柳子は一也の墓参りに出かけ、別れを言いに来たと墓前で言う。
「貴方との約束、今日まで守って来ました。でも貴方は帰って来てくれません。私、お兄様と結婚します。もう来ることは出来ません、許して下さい。さようなら」
そこへ、タカが現れた。再会する二人。柳子は一也に別れを言いに来たと言う。柳子が結婚すると知って、タカは幸せになって欲しいと言う。柳子は一也の墓の世話をタカに頼む。
そうして、柳子は圭吾と結婚した。柳子にとって朝倉家再興の第一歩だった。
とうとう圭吾さんと結婚してしまいましたね、うーん、一也は何年も前に亡くなってしまった(と柳子は信じている)のですし、経済的な不安や家族の心配などいろいろありますしね、無理の無いことなんでしょうかね。これが後にいろいろな問題の発端?になりそうです。今度?の結婚式は、和風で柳子は綿帽子に白無垢姿でしたね。ウェディングドレスも素敵だけど、白無垢姿もいいです。
二人きりになった初夜
「僕も必死で君を愛して生きて行くから、君も僕を愛して欲しい」
と圭吾は言う。柳子も圭吾を愛していくと言う。
「この日が来るのをずっと望んでいた」
と圭吾。
昭和20年12月、まだ廃墟同然の東京、柳子は新しい人生の一歩を歩み始めていた。
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第39話
昭和23年、柳子と圭吾が結婚して3年が経った。圭吾は次々とお金が儲かりそうな事業に手を出していった。元華族の左近寺伯爵夫人が圭吾に古美術品仲介を求め、売りに来た。
ん?あの伯爵夫人は、景清がスパイ容疑で逮捕された時、日比谷倶楽部で柳子をスパイの娘といじめたおばさんでは?(^_^;)
「世間の噂通り、蝮男爵に夜叉夫人そのままね」
と柳子に嫌味を言う左近寺夫人であったが、
「光栄でございますわ」
と柳子は涼しい顔であった。
圭吾はアメリカ軍に取り入って、いろいろ仕事をもらっていた。貴久子は、昔と変らず豊な生活が出来て幸せだった。ケンプトン大佐に取り入って、便宜を図って貰おうとしていた柳子だが、日比谷倶楽部でアメリカ軍兵士のジョージと踊る琴子を見てびっくりする。琴子は、お金を使ってジョージをフィリピン送りにしたと柳子に怒るが、柳子は琴子にふさわしい結婚相手を捜してあげると言う。
「私はね、誰かさんと違って好きでもない人と結婚するつもりはないのわ」
と琴子。一瞬、柳子と圭吾の顔が険しくなったが、苦笑する柳子。
「琴子さんって本当に子供なんだから。いい、結婚ていうのはね、男と女が同じ目標を見つめて、手を携えて一緒に生きて行くことなのよ」
と言う柳子だが、琴子は柳子はそうやって自分の心に言い聞かせて生きて来たんでしょうと言う。
「私は自分の心を偽って生きたりしないわ。本当に愛する人と結婚します」
と言う琴子の頬を、柳子は叩く。
うーん、なんだか随分変ってしまいましたね、柳子さん。表情も険しくなってしまって。琴子さんも、昔の姉思いの琴子さんとは変りましたね。
琴子は町をうろついていたが、売春婦と間違えられ警察に追われ「なすび」に逃げ込む。タカは琴子をかばうが、琴子は刑事に連れて行かれてしまう。柳子と圭吾が琴子を迎えに行き、お金の力で連れ帰った。琴子は身の潔白を証明するために、元男爵朝倉家の娘だと、警察で言っていた。柳子は、
「決して忘れないでね。貴方は朝倉家の一員なのよ、そしてお母様には決して心配をおかけしないように」
と言うが、
「私の人生、私のものなのよ」
と琴子は部屋を出て行く。
柳子は、「なすび」へ行き、琴子の口止め代にタカにお金を渡す。
「口封じってわけですか」
とタカは、ため息をついて言う。タカは柳子の変り様に驚く。
「お嬢様の優しい気持ち、この私が一番よく知っているんですよ。ねえ、あの昔のお嬢様は一体どこいっちゃったんですか」
「とにかく、受け取って下さい」
「そうかいよかったよ、天堂さんは。こんな風に変っちまったお嬢さんの姿を見る前に死んじまってさあ」
「ごきげんよう」
と帰る柳子。タカはやりきれなかった。
タカさんの言う通りですね。どうしちゃったの柳子!今の柳子は、誇り高さはあるかもしれないけど、昔の優しさは感じられませんね。お金が一番って感じがして。それって、景清、それに昔の柳子が一番嫌いだったことじゃなかったのかなあ。惨めな思いをして、そんなに変ってしまったのでしょうか?
朝倉家で、柳子と圭吾の結婚三周年を祝うパーティが開かれていた。その時、1人の闖入者が現れた。死んだと思っていた一也であった。
天堂一也は生きていた。そして、今柳子の新たな運命の扉は押し開けられようとしていた。
やっぱり生きてましたね、一也君。どうなっちゃうんでしょう。
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第40話
朝倉家のパーティのたけなわ、一也が現れた。驚愕する柳子、圭吾、貴久子、琴子達。
「いやああ、生きていたのか、天堂君」
圭吾は、自分達の結婚記念日と一也の奇跡の生還を祝おうと、一也に言う。柳子が圭吾と結婚したと知って、
「本当か…」
と驚いて聞く一也。かすかに頷く柳子。
「馬鹿な…」
「浦島太郎の心境だろう、この5年間に何もかも変ってしまったんだよ」
と圭吾。一也は、立ちすくみ何も言わず出て行く、追う柳子。
「なぜ、なぜ裏切ったんだ。なぜ約束を破った」
と一也。一也は5年間、ずっと柳子を思って生きて来た、ソ連軍に囚われて捕虜収容所に入れられたが脱走して、死に物狂いで帰って来た、柳子に会う為に。
「遅過ぎたんです、貴方は遅過ぎたんです」
「なぜだ、死ぬほどの苦しみを味わったと言うのか。それとも気も狂わんばかりに、孤独だったと言うのか」
一也は何度も生きることに絶望したが、柳子にもう一度会う為と思って帰って来たのだ。教会で挙げた二人だけの結婚式は何だったのか、忘れたのかと言う一也。
「俺も今夜限りで、何もかも忘れる」
と出て行く一也。
そりゃーすごいショックだったでしょうね、一也君。柳子が裏切ったと思っても仕方ないですよね。でも、柳子は柳子で必死に生きて来たわけだし、一也が死んだと思っていたわけだし…複雑ですね。
柳子は信じたくなかった。あれは幻なのだと。そして、1人泣き崩れる柳子。
「どうして、何で今になって。」
柳子のそんな姿を見て圭吾は、
「柳子、君らしくもないじゃないか。夜叉夫人と呼ばれるほどの君が、そんなに取り乱すなんて」
と言う。死んだはずの一也が現れてびっくりしたが、今夜の客は大事な客ばかりだ、パーティを不首尾に終わらせるわけに行かないと圭吾。
一番変ったのはこの人かもしれません男爵になる前は、カメラが好きな趣味人だったのに。やっぱり、いくら朝倉家を建て直す為とはいえ、圭吾さんと結婚してよかったの?柳子さん。なんてどうしようもないことを言ったりして。(^_^;)
貴久子が、柳子の代りにダンスをしていると圭吾は言う。
「取り乱して申し訳ありませんでした」
と柳子。その顔は夜叉夫人の顔に戻っていた。
一也は荒れて、町をうろついていた。何の為に、誰の為に厳寒のシベリアの捕虜収容所を脱走し、帰って来たのか、狂いたかった、このまま狂ってしまいたかった。
柳子は気を取り直して、パーティに出ていた。パーティが終わって、二人だけになった柳子に、琴子は
「私にはとても出来ないわ、お姉様のような生き方は」
と言う。一也が生きていて帰って来てくれるのを、祈っていたのではないかと琴子。
「天堂様は3年前に、私の中で完全に死んだわ」
と柳子。
またまた、本当柳子さん?強がりだと思うけどねぇ。(^_^;)
一也が生きていたことに吃驚したと貴久子は圭吾に言うが、圭吾は柳子と自分は堅い絆で結ばれた夫婦だから、大丈夫だと言う。琴子は柳子と一也の二人だけの結婚式の話をするが、柳子は、
「あれは若くて無知な男と女が誤って交わした約束、一時の気の迷い、とっくに忘れたわ」
と言う。
「嘘よ、命がけの愛が、そんなに簡単に忘れられるわけがないわ」
と琴子。柳子は幻想だと言う。その二人の話を、ドアごしに圭吾が聞いていた。
またまた、突っ込む琴子さん。オパールも琴子さんの言う通りだと思いますが(^_^;)。
一方、一也はキャバレーで馬鹿騒ぎをしていた。そこに、度が過ぎると客の1人の飛田雄介が一也に文句を言うが、お金で解決しようとする一也。一也が渡したお金を燃やし、雄介は、
「豚野郎の銭は臭くていけねえや」
と言う。二人はケンカになり、疲れるまで殴り合っていた。しかし、最後は外へ出ようと目で合図をする雄介。
「貴方を愛する気持ちは一生変りません。天堂は天堂一也は、3年前に死んでしまったのです。私には、今の私の心の中には貴方の他に誰もいません。愛しています、貴方」
と柳子は心の中で、叫んでいた。
新登場人物、飛田雄介(黒沢年男)も出てきて、新たな展開になって来ましたね。
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